日々狩り旅【三重編(再)】①

日々狩り旅【三重編(再)】①

2020年1月6日
狩りのこと。

単独単犬猟がなかなか思うようにいかず(ワンシーズンで習得できるようなものならみんなやってますよね。それは承知しているものの。)悶々としている中で、三重で単独単犬の猪猟をやられている猟師さんに連絡したところ、

「猟期中に遊びに来れたらおいで」

と返答をいただきました。

ちょうどその猟師さんが主催する「新年焚き火大会」なるものを開催するタイミングだったようで、
お正月休みを利用して三重まで車を走らせました。三重再訪です。

新年焚き火大会

焚き火大会の様子

会場は三重のとある河原。到着すると焚き火大会はすでに始まっていた。

老若男女問わず30人近くの方が参加されていた。

猟師さんのご親戚の方、会場近郊に住まわれている方、県外から来られた方、
初めましての方ばかりだったが、「野外で焚き火」という条件がそうさせるのか、
変な緊張をすることもなく、誰とでもフランクに話すことができた。

「人が集まる場所」ということにも個人的に関心があって、
・解放感ある野外
・焚き火(心地よさを感じる温もり)

という要素は人の距離を縮める重要な要素かも、とか考えていた。

中央の焚き火スペースでは、猪2頭と鹿1頭が丸焼きにされていた。
狩猟をやるようになって見慣れた獣の状態ではあるけど、けっこう衝撃である。

と同時に、とても美味しそう。

丸焼きって最強の調理法な気がする。

ある程度表面に火が十通ったら、部位ごとに切り分けて再度焼き、
そこからスライスして取り分ける、という感じ。

猪肉
鹿肉

その場にあるものでパパっと作ったらしいのだが、お肉の上にかかっているソースがとてつもなくお肉にマッチしていて美味しかった。

すりおろした林檎と蜜柑にオリーブオイル、塩、胡椒が混ぜてあった。

シンプルな組み合わせだけど、今までで一番お肉と違和感なく融合していた。

寸胴鍋の中では、鹿や猪の骨から出汁をとったスープが煮込まれていた。

白菜、長ネギ、天然きのこ(おそらく猟師さんが採取したもので名前はまったくわからないが3種類ぐらい入っていた)、猪モツ、猪脂、猪肉、鹿肉。

山の幸がふんだんに入った贅沢なスープである。

味付けは酒と塩のみ。あっさりな味だけど濃厚な旨味とコク。病みつきになる。

フェモラータオオモモブトハムシ

焚き火の横では、数人がかがみこんでなにやらやっている。

覗いてみると、腐った木の幹のようなみのを割って開いていた。

お話を伺ってみると、

「フェモを取り出してるんですよ~」

フェモとは。

正式名称は、「フェモラータオオモモブトハムシ」(以下:フェモ)。

カナブンのような昆虫で、外来種。

成虫はクズの蔓の幹に産卵し、生まれた幼虫はクズの蔓の幹の中にゴールと呼ばれる虫こぶをつくる。

クズの蔓にできたゴール(虫こぶ)

巻きついている蔓の節にようになっているものがゴール(虫こぶ)。

このゴールの中にフェモの幼虫がいるらしい。

それをさっきのひとたちは取り出していた。

前回三重を訪れたときに、猟師さんからフェモのお話は伺っていた。

「ピスタチオの味がして食べると美味しい」と。

それは食べるしかない、と思っていたが、時期的に採取ができずそのときは諦めた。

が、まさかこの度お目にかかれるとは。

取り出すところからやることにした。

本当に幹の中に幼虫が入るぴったりサイズの繭があった。

取り出すとこんな感じだ。

この繭のような薄皮を破ると、フェモ幼虫が入っている。

生でも食べられないことはないが、火を通した方が安心だし美味しいということだった。

なので、とりあえず生で食べてみた。

プチっとイクラを噛むような感触のあと、中からどろっとクリーミーな何かが出てきた。
うっすらピスタチオのようなナッツのような風味。それほど濃い味はしない。
ちょっと青臭い感じもした。やっぱり加熱したほうが良さそうだ。

ボイルで加熱してみることに。浮いてきたら火が通った、ということらしい。

食べてみる。

生よりも確実に味が濃くなっていた。ほぼピスタチオ。

ボイルしたものをさらに火で炙ってみると、香ばしさがプラスされてよりナッツ感。

塩をまぶしたら、絶対に美味しいなと確信した。

ちなみにボイルしたものをこのまま冷蔵庫で3日ほど寝かせると、杏仁豆腐の味になるんだとか。

なぜだ。

それは試してみたいなと思い、ボイルしたフェモをジップロックに入れてお持ち帰りさせてもらった。

※外来種のためくれぐれも生体の持ち運びはしないように(この記事を見てフェモを食べたいと思う人がいるのかは怪しいですが)

この日もまた食の世界が広がる経験をした。

「食べる」ことは、ダイレクトで自分の中の常識を打ち崩してくれる。

やっぱり自分にとって「食べる」ということは重要なファクターだなと再認識。