単独単犬で山に入るようになり、猟期も折り返し地点まできました。
猟犬自身の能力や性格もさることながら、
主の技量や計算も必要不可欠な要素。
「山を知る」という意味では、そこは主の分野であるだろうと思っています。
猟犬は鋭い感覚で獣の気配を察知してくれますが、
その能力を最大限引き出し、活かすのは主の役目であるわけです。
山の地形、環境を把握し、どこに獣が潜んでいるかを予測し、
そこまで猟犬と共に歩いて辿り着く。
そのスキルが自分にはまだまだ足りないな、と感じています。
猟犬の能力任せになってしまっている。
広角と挟角の使い分け
基本は広角視野で山を歩く。
ざっと周囲の状況を視て、なるべく広い範囲の情報をインプットする。
その中で、
「ん?」
と引っ掛かる情報が入ってくる。
シダ系の植物が鬱蒼と茂っている。
猪はこういう繁茂した植物の中や岩場に寝屋をつくることが多い。
自分の中にある知識や経験という情報と、
山の中の状況を照合させ、ポイントを絞り込んでいく。
この藪の中に、残念ながら猪はいなかった。
が、その周囲の状況をよく観察するとあることに気が付いた。
木の枝に泥が付着している。乾き具合やかすれ具合からすると真新しいものではない。
高さは地表50㎝程度。おそらく猪がヌタをうった後に、このあたりを通ったのだろう。
さらに周囲をより精細に観察する。
泥の付着した枝が左右に。
なんとなくだが、猪がこの間を通ったことが推測できる。
矢印の方向に下っていくと、下に小さな沢があり、水場がある。
ということは、猪はこのルートを使って行き来しているのではないか。
大体道が絞れてきた。
このルートに沿って、さらに観察する。
木の幹にべっとり付着した泥。
触ってみると完全に乾ききっていない。
昨日雨が降っていたので、それで湿った可能性もあるから、ここを通ったのはいつか判断しづらい。
はっきりした足跡が見つけられないところから判断すると、
このルートを使ったのはけっこう前だという推測が妥当そう。
広角で捉えた情報の中から、有益な情報をピックアップし、
そこから挟角に切り替えて解像度をどんどん上げていく。
そうして獣が潜むポイントを絞り込んでいく。
このスキルを磨いていきたい。
今回は狩猟登録していない土地で山に入っていたので、
狩猟自体はできませんが、自分の感覚を磨き、経験を積むことはどこでもできます。
猟犬の成長を期待する以上に、自分の経験と技量を得る努力を怠らないように。