「疥癬」という病気を聞いたことはありますか?
ヒゼンダニという肉眼では認識できないほど小さなダニが動物の皮膚に寄生して卵を産みつけ繁殖します(動物によって寄生するヒゼンダニの種類は違うようです)。その結果、引き起こしてしまう病気で、皮膚に激しい痒みを伴います。
症状が酷くなると、掻痒感から全身を掻きむしり脱毛症状が見られます。
野生動物だと、疥癬にかかったタヌキやイノシシをたまに見かけます。
全身毛が抜けていて、ひどくやせ細っているのが特徴です。
どうやら人にも感染するようです。
ただ人にはヒト疥癬という病気があり、これはヒゼンダニの種類がまた違うようで、痒みの症状がでることはあるものの動物経由の疥癬感染は人の皮膚上では蔓延はしないとのことでした。
まぁそれでも疥癬にかかっているペットや動物に接触した場合は、すぐに触れた箇所を洗浄したほうがよいとのことでした。
実は今飼っている猟犬に疥癬のような症状が見られ、先日動物病院に連れて行ったところ疥癬に罹患していることが発覚しました。
第一症状:体をやたら掻く
普段から後脚で首輪のあたりを掻くことはたまに見かけました。
それが、
「最近やたら身体掻くなぁ」
となったら、要注意。掻く頻度が明らかに多い状態は疥癬に既に掛かっている可能性が高いです。
頻度の度合いで言うと、
罹患前→1時間に一回掻くかどうか
罹患後→1時間に7~8回
これぐらいは差があったと思います。
しかも掻く箇所・範囲が広いのが印象的でした。
前脚の脇、股、足先、太腿…と掻く箇所が異常に多いんです。
散歩中や山に行っても、歩いては掻いて、歩いては掻いての繰り返し。
この時点で疥癬を疑って病院に連れていくべきだったと反省しています。
第二症状:脱毛
そこから日数が経つと、今度は脱毛が始まりました。
痒くて同じところばかり掻きむしるので、その部分だけ禿げてしまうんでしょうね。
こんな感じです。
左太腿と内股の脱毛
↓
前脚付け根の脇
↓
足の付け根
というように、徐々に脱毛箇所が増えていきました。
脱毛部分はほんとにきれいに毛がなくなっていて、まさに疥癬にかかったタヌキやイノシシのそれと一緒でした。
「これは明らかにおかしいぞ」
そう思ったのはこのときでした。
所見される症状から調べてみるとどうやら疥癬の症状と酷似しています。
治療法と予防策
疥癬に罹患している可能性が高いと分かってから、まずはペットの痒みを伴う皮膚疾患対応(疥癬にも効果が期待できると記載があったので)のシャンプーと非ステロイド系の塗り薬をネットで購入して試してみました。
2週間ほど続けてみても、痒みがおさまる気配は一向になく、
「これはやっぱり病院に行くしかない」
と判断し、動物病院に連れていきました。
市販薬ではやっぱり効果は期待できませんね…
まぁ分かってはいたんですが。
考えてみれば目に見えないほど小さなダニが皮膚に数えきれない数で寄生しているわけですから、
シャンプーなんぞでは撃退できないのは当たり前ですね。
しかもよく見たら、抗真菌&細菌性でダニに効果があるとは書いていない…ん~なるほど。
病院に連れていくと、
「これは疥癬だね~」
と即断。
皮下注射を二回注射し、
一ヵ月分の内服薬を処方してもらいました。
これはおそらく皮下注射していて薬剤と一緒のものだと思います。
調べてみたところおそらくイベルメクチンという駆虫薬で、
スポイトでエサにかけて経口摂取させます。
疥癬に効果ありとのこと。
これはプレドニゾロンという合成副腎皮質ホルモン剤(ステロイド剤)です。
人の皮膚疾患に対する処方薬でもよく見ますね。
抗炎症作用、抗アレルギー作用、代謝作用があります。
病院での治療代、処方薬代は11,500円。
保険が効かないので仕方ないですが、割高ですね。
相場がどれくらいなのか分かりませんが。
それでも全身痒いのはほんとに辛そうですし、他の犬や人に影響してしまったら大変なのでしっかり治療していこうと思います。
原因としては、少し前に猟犬の小屋の前を運悪く通りかかったタヌキを噛み殺していたことがあって、
そのタヌキからもらってしまったのではないかと考えています。
タヌキは疥癬に掛かっているけっこう確率が高いそうです。
猟犬なので、山に行くこと、獣を接触することは避けられません。
疥癬に罹患していそうな獣に遭遇したときは接触させないこと、
ノミやダニに効果のある駆虫剤を駆除剤を皮膚に投与しておくこと、
でしょうか。
フロントラインという有名な皮膚滴下タイプの駆除剤は定期的に使っていましたが、
これ、疥癬のヒゼンダニには効果がないようなことも書いてあります。
疥癬の効果的な予防法については動物病院で改めてしっかり確認してきます。
疥癬と疑わしい症状が飼っている猟犬に見られた場合は、
迷わず直ちに動物病院にかかることを強くお勧めします。
今はネットで様々な薬品や薬剤を取り寄せることが可能になりましたが、
調べてみると効果が期待できる反面、リスクもあるものも多くあるようです。
そのあたりの判断は素人ではできないと思います。
犬に何かあったときのかかりつけの獣医師を見つけておく意味でも、
一度動物病院に行ってみましょう。