鹿コール猟①【2019.9.30】

鹿コール猟①【2019.9.30】

2019年10月2日
狩りのこと。

夏から秋へと移ろい始めたこの時期。
鹿の発情期がやってくるので、様子見も兼ねてコール猟に出かけてきました。
※有害駆除として出猟しています。

時期的に少し早いかな~という気もしたので、
「フィールドサインが見かけられれば儲けもの」くらいで山に入ったのですが、思わぬドラマが待っていました。

今回はそのことについて書いていきます。

最初のポイントは空振り

今までに入ったことのある山で見つけたヌタ場(獣のフィールドサインが出現しやすく縄張りとされやすい)を順番に回っていきます。

一カ所目は、
昨年コール猟でオス鹿を獲ったポイントで、コンスタントに獣が通ってくる場所です。

車を停めたところから、40分ぐらい山を登ったところにあるのですが、
この時期の山の様子も知りたかったですし、ついでに可食キノコ(松茸は見つけられないだろうな~と思いつつ)の出る場所も発見できればと思い、向かうことに。

ヌタ場

ポイントに到着すると、遠巻きから見ても分かるほどヌタ場を使った跡がありました。

これは期待できそう。試しにコールしてみることにしました。

「来るだろうか…来るならどこから?」
という緊張感は、巻き狩りなどのそれとはまた違った感じがします。

木々が風に揺られる音、
小鳥のさえずりや羽ばたき、
どこか遠くから聞こえる何者か分からぬ獣の鳴き声、

まさに自然の中に身を投じているという感覚がもたらす内なる高揚は独特です。

今年になって、「コール猟けっこう好きかもな」と思いました。

ただまだ気温が割と高い時期なので、虫が寄ってくるのが気になりました。
集中力が途切れるのと、虫を追い払うなどの無駄な体の動きが出てしまうので注意が必要です。

結局、鹿は寄ってなかった

30分ちょっと粘ってみましたが、鹿は来ませんでした。
近くにはいなかったのだと思います。

ふつうなら10分ぐらい粘って来なければポイントを移します。
が、けっこう登ってきたこともあったので「これだけ汗かいて登ってきたからには来てほしいな」という欲がそうさせました。

期待していない、とは言いつつもけっこう期待してたんですね笑

そのあとで、ヌタ場付近を観察してみました。

濁り具合や湿り気を見ると、かなり最近ここに通ってきています。
これを見れば、「具体的に何日前に来ている」というところまで判断できてしまう猟師さんもいるようですが、まだそこまでの観察力は身についていないです。
いつかはそうなりたい。

そしてさらに周囲をよく見てみると…

泥浴びした身体を近くの木々にこすりつけた痕跡がありました。
べっとりついています。

これらの痕跡から察するに、ここのヌタ場に来ていたのはイノシシみたいです。
泥がこべりついている高さは地表から50~60㎝ほど。
鹿であるならばもっと高い位置に泥が付着するはず。

ここからさらにトレースして、
このイノシシの寝屋まで特定できるかチャレンジしてみましたが途中で分からなくなってしまいました。
まだまだですね…精進あるのみです。

そのまま下山して車に戻りました。

次のポイントへ

二カ所目のポイントは、コール猟が初めて成功した場所です。
ここにも大きなヌタ場があって、常に獣が通ってきています。

このポイントに到着して森の中を進んでいくと、
あることに気が付きました。

強烈な「におい」

発情期の雄鹿特有の強烈なにおいをはっきりと感じ取ることができました。
「これは絶対近くにいる」と確信しました。

この「におい」自体が、雄鹿がこのエリアを縄張りにしているという明確なサインで、過去に成功した2回もこの「におい」がしたのです。

「木化け」(木と同化できるようになるべく太い幹で、光りの向きを見て陰になる側面を選ぶ)できる場所を決めて、コールしました。

程なくして(時間にすると7~8分だったと思います)、森がざわつく感じがしました。この雰囲気というのか、感覚を言語化することが難しいのですが、鹿が現れるときはその「気配」がするんです。

例えば、
遠くで枝が折れる音がする、
鳥がにわかに騒がしくなる、
というような静けさの中に訪れる「何かしらの違和感」を総合すると、
確実に今までとは雰囲気が変わった、という感覚になるのです。

まだ経験は少ないですが、出会うときは必ずこの感覚になっています。

落ち葉を踏みしめる音が確かに聞こえてきました。

カサッ、カサッ、カサッ

そして、
50メートル程先にヌッと雄鹿のシルエットが現れました。

三又四叉の角を有した雄鹿。

驚いたことに、
その数メートル後ろに、もう一頭の雄鹿も現れました。

さすがに動揺しました。
こんなこともあるのか、と。

緊張と驚きと動揺の中、
手前にいる雄鹿(初めにでてきた)に狙いをさだめ引き付けます。

このとき、心臓の鼓動があたりに響いているんじゃないかと心配になるくらい高鳴っています。

30メートルの距離まで寄ってきたところで、引き金を引きました。

息絶えた雄鹿

銃弾は雄鹿の胸に当たり、卒倒しました。

もう一頭はすぐさま踵を返し山に消えていきました。

「当たった!」という高揚感。
「獲れてよかった…」という安堵感。
「ありがとう、いただきます」という感謝。

獲った瞬間の心のうちはこんな感じです。
それ以外は…特にないような気がします。

仕留めてから一呼吸おいて、
倒れている雄鹿を見るとようやく落ち着いてきます。

ほどなくして巡る思考は…

「ここからどうやって引き出そうか…」

余韻に浸って休んでいる暇はありません。

ここからは時間が勝負です。

手製の牽引ワイヤー

美味しく食べるために、さぁ汗を流しますか。

マンパワーで引きずって運ぶしか手段はないので、
とにかく頑張ります。

もう、ただ踏ん張って頑張るしかないのです。

いつだって答えはシンプル。

捌いてお肉に

もも肉

見事なお肉でした。
おそらく3歳になりたての雄でにおいもそれほどしませんでした。

食べるのが楽しみです。